2026.09.27
美容師というと、髪を切ったり、カラーをしたり。
お客様の「こうなりたい」を形にする仕事というイメージが大きいと思います。
僕自身も普段はサロンで、そんな仕事をしています。
でも、そんな美容師にも、少し違った髪との向き合い方があります。
それが「クリエイティブ」です。
今回は、そんな制作の過程を少しだけご紹介します。
⸻
今回の作品のテーマは「ストレリチア」。
ストレリチアは、鮮やかな色と独特なシルエットを持つ植物で、「極楽鳥花」とも呼ばれています。
その生命力のある姿や、シャープに伸びていくような形から感じた「鮮烈さ」や「存在感」をヒントに、髪や衣装、色、光を組み合わせながら、一つの世界として表現してみました。
植物そのものを髪で再現するのではなく、
「ストレリチアを見たときに感じるものを、髪で表現したらどうなるだろう?」
そんなところから制作が始まりました。
⸻
今回の作品を考えるとき、いきなりウィッグを切り始めたわけではありません。
まずは明治神宮から渋谷まで、あえて歩いてみました。
途中で気になったものがあれば写真を撮る。

木のシルエット。 街の景色。 建物の形。 光と影。 お店の空間。 何気なく置かれているもの。
普段なら通り過ぎてしまうようなものでも、
「この形、なんか面白いな」 「この色の組み合わせ好きだな」 「この空気感、作品に使えそうだな」
と考えながら歩いていると、いつもの街が少し違って見えてきます。
⸻
そして、集めたものをヒントにウィッグを触っていきます。

最初は黒髪のシンプルな形から。
そこからカットして、動きをつけて、色を入れて。
「こっちのほうが面白いかも」 「いや、やりすぎかも」 「もう少し形を変えてみよう」
そんなことを繰り返します。
一度作ったものを壊して、また作る。
普段のサロンワークでは、お客様の髪なのでなかなかできないようなことも、ウィッグなら思い切って試すことができます。
⸻
そして、形が見えてきたら、今度は髪だけではなく、衣装やメイク、光、モデルさんの表情まで考えていきます。
最初は「髪型」だったものが、少しずつ「世界観」になっていく。
ここがクリエイティブの面白いところだと思っています。
完成した作品だけを見ると、髪型があって、写真があって、それで終わりに見えるかもしれません。
でも、その前には、
街を歩いて、 写真を撮って、 ウィッグを切って、 色を試して、 また形を変えて。
そんな小さな「なんか面白い」を積み重ねています。
⸻
クリエイティブをやってみて思うのは、
「美容師って、髪だけ見ている仕事じゃないんだな」
ということ。
服を見たり、建物を見たり、自然を見たり、街の空気を感じたり。
そういう日常の中にあるものが、髪をつくるきっかけになることがあります。
そして、それはきっとサロンワークにもつながっていく。
お客様と「どんな髪型にしましょう?」と話すときにも、たくさんのものを見て、感じて、考えてきた経験が少しずつ活きてくる気がしています。
今回の作品は、フォトコンテストのクリエイティブ部門に応募しています。
せっかくなら、ここまで一緒につくってくれたモデルさんや撮影に関わってくださった方々、そしてこの機会を与えてくれた環境に、良い報告ができたら嬉しいなと思っています。
結果がどうなるかはまだ分かりませんが、まずは「面白いものをつくろう」と楽しみながら取り組めたこと自体が、今回の大きな収穫でした。
また良いご報告ができることを願って。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。